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2013年11月22日金曜日

Vol.17 Nissen愛してる(後編)


Nissen愛の後編です。前編はこちらから。


Nissen漁のやり方


サイズの心配をすることもなくNissenという大海原で買い物をするときに大事なのは、



まず気になるカテゴリーでソートをかけて、

目に入った気に入ったものは全部カートにブッ込むということです。

セールでの買い方に似ています。とにかくちょっとでも気に入ったらカートにブッ込む。

「これ最近流行ってるけど、私には若すぎるかな?」

「普段着ない色だけど、これは着方によってはイケてるのでは? 」

「これ、圧倒的にヘンな服だけど、どうしても着てみたい…。」

そんな冒険心を満たすアイテムは、迷わずカードに入れます。

カートに入れただけでは購入したことにはならないので、

あとからゆっくり選べば良い。

私は必ず、ワンピースから商品を見ます。

ワンピースはいいですよね、一枚着ればそれで終わりだから。

そのあとはボトムスを見ます。

街のショップではボトムスのサイズが合わないことが多いので。

自分が40代だからって気遅れして、いきなりミセスファッションに行く必要もありません。

ヤングファッションのなかにも、大人が着れる服はたくさんあります。

ただ、セール前で冬物2000円以下のものはピラピラしたものが多いから注意です。

安かろう悪かろうではありませんが、値段よりちょっと良いぐらいのものなので、

購入する商品は、基本的に1~2シーズン着られれば良しと考えてください。

ですから、Nissenではベーシックなコートではなく、

ちょっと着回しがきく、来年は興味がなくなりそうな服を探しましょう。

つまり、通常のショッピングでは、最初に弾かれるか、罪悪感を持って購入される服です。



巨大通販サイトの衣類はどこもそうですが、

商品はモデルが着用してポーズをとった写真だけではなく、

後ろからの写真や細部の拡大写真まで見れるようになっています。

Nissenでは、ものによっては裏地まで全身で見られる写真があります。

商品一覧ページに各商品のクイックビューがないのだけが残念ですが、

個別ページにはAmazonレビューよろしく、購入者の感想も入っているので、

それを見ながら購入を検討するのもよいでしょう。

レビューを書いた人の体型も自己申告でついていますから、それらも参考になります。

すべての口コミを掲載しているわけではないかもしれませんが

「生地が安っぽくて伸びそうだったので返品しました」

「ネットで見ていたのと全然色が違うので返品しました」

など、辛辣なコメントが多数ついているものもあります。

Nissenに限らず、身銭を切った匿名者のコメントは、

金をもらって絶賛している著名人のコメントより役に立ちますね。



不思議なことに、気に入った物をどんどんカートにブッ込んでいくだけで、

ある程度の物欲は満たされます。そこで清算ボタンを押すのは素人。

一旦満足したらお茶でも飲んで、一呼吸置いてからカートを見直します。

すると、これはいらんじゃろ~ と、自分でもびっくりするようなものが

カートにいくつも入っている。自分の審美眼のなさに唖然とします。

でもいいんです。Nissenでの買い物は、一本釣りの大間のマグロではありません。

トロール船での底引網漁ですから、気になったらとりあえず全部引き揚げればよい。



そして、今度は大量の魚をブッ込んだ網からお宝を見つける作業に入ります。

選んだ商品をひとつずつクリックして、小魚や食べられない深海魚などを

カートから省いていきます。すると、カートにはだいたい3点ぐらいしか残りません。

Nissenでは3900円以上が送料無料ですから、1点か2点買えば、送料無料になります。



ユーザビリティが高い


気に入った物を見つけるまでにはある程度の時間が必要ですが、

サイト内のうろうろしやすさ、カートの使いやすさ、二回目からの買い物など、

Nissenはその他の女性用衣料系サイトと比べてユーザビリティが非常に高い。

ヤコブ・ニールセンが随分昔に定義したWEBのユーザビリティとは


学習しやすさ: システムは、ユーザがそれを使ってすぐ作業を始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。

効率性: システムは、一度ユーザがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。

記憶しやすさ: システムは、不定期利用のユーザがしばらく使わなくても、再び使うときに覚え直さないで使えるよう、覚えやすくしなければならない。

エラー: システムはエラー発生率を低くし、ユーザがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。

主観的満足度: システムは、ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう楽しく利用できるようにしなければならない。
                                     wikipediaより引用

の5つですが、詳しいトリセツより体感で捉えられるものを好むとされている女相手に、

Nissenのサイトはこの5つをかなりハイスコアでクリアしていると思います。

ネット販売なんて、トップページやランディングページにどんだけ客を集めたって、

1ページ移動するごとにじゃんじゃん客が逃げていくわけですから、

すべてのフェイズでどれだけ離脱者を減らせるかがキモです。

つまり、商品を選ぶフェイズでは、選ぶことが楽しく、

湧いてきた疑問が最小限の移動で解決するようにしなくてはならない。

そして、そのページだけで離脱しないよう、

的確なサジェスチョンで、他のページにも誘導しなければならない。

ページを見る見込み客に「欲しいものがあるかもしれない」という期待を膨らまさせながら、

自分では想像もしていなかった欲しいものを見つけさせてあげる

という状況すら作る必要があります。

この状況作りに必要なのは、斬新なコピーよりも綺麗なイメージ写真よりも、

丁寧な商品解説とシステムの構築です。

1ページの滞在時間が長く、訪問したページ総数が多ければ

基本的にはそのサイトへの関心が高いということになりますが、

Nissenは他の女性向け通販サイトに比べ、

訪問ページ数と滞在時間が桁違いに多いのではないでしょうか。あくまで私の体感ですが。

そして、一度購入を決めた人の気が変わらないように、

スムーズに購入を完了させることも大切です。

送料はかかるのか、いつ届くのか、どうやって支払うのか、

当たり前の話ですが、意外とここが分かりづらくめんどくさいサイトもまだ多いです。

そのあたりが洗練されているAmazonでしかネットで物を買わない人には、

想像もつかない話かもしれません。



試しにネットで服を買ったことは一度もなく、

今でも百貨店で服を買うという珍しい女友達にNissenを勧めてみたら、

あっさり自分の好みの服を見つけて、スムーズに購入していました。

私が驚いたのは、彼女が選んだ服が、日々くまなくNissenサイトを見ている私の

記憶にまるでなかったことです。

彼女が買った服はまさに彼女が好みそうな服だったのですが、

4,500点もあると、そうそう同じものは目にしないもんだなと思いました。

だから、街でも被らないのでしょうね。

こうやって自分好みのものが比較的安くあっさり買えて、

数日後に届くという経験を一度したあとに、有用性の高いメルマガが届く。

すると、二度目の訪問率も高くなる。そうやってハマっていったのが私です。



まとめると


長くなりましたが、Nissenの魅力を箇条書きにするならば


・ 一貫性のない雑多な商品群から、自分好みのものを掘る楽しさ

・ 今期だけの流行りものにも手が出せる手頃な価格帯

・ 着れるものが必ずある豊富なサイズ展開

・ 尋常でない種類数がハンデにならない、高いユーザビリティー


といったところでしょうか。


あ、大事なことを忘れていた!


大切なことを言い忘れていました。Nissenの素晴らしさは、

そのブランド力が、デザインではなく雑多性に宿っているところです。

例えば初めてのひとり暮らしのために、

日用品をフランフランや無印良品で揃えたばかりに

自室がそれらのショップに憑依されたようになったことはないでしょうか?

私にはあります。

初めて実家を出て住んだ家では、危うくケルト音楽の幻聴が聞こえそうだった。



すべてのデザインのトーン&マナーに一貫性が出れば出るほど、

ユニクロが「手軽に手に入る身近なファッションブランド」という枠を超え、

ユニクロ着用者がブランドの広告塔に見えたことはないでしょうか?

私にはあります。この冬も、たぶんユニクロ喜んで買って自ら広告塔になっちゃうけど。



商品を一見しただけでブランドが伝わるということは、

一見してコーポレートアイデンティティが伝わるということであり、

一見して伝わる力が強ければ強いほど、

ブランドから購入者へのアイデンティティの支配が生まれると思います。

コーポレートアイデンティティがデザインを通して前に出過ぎると、

それを選んだのは確かに自分だったはずなのに、

なぜかパワーバランスが逆になって、コーポレートアイデンティティのなかに

自分が埋め込まれたような気分になる。

企業のアイデンティティに賛同した証として購入したはずが、

企業のアイデンティティに自分の生活が浸食されたような気になってしまうのです。



コモディティには見えないコモディティ、ぐらいのブランドで、

こういったことが良く起こるように感じます。

ハイエンドなブランドでは、そう点数を多くは買えませんし、

最初からブランドの方がパワーを持っていることを承知で購入するので

自己のアイデンティティを凌駕されたような気分にはならないのかもしれません。



我が軍Nissenにはその心配がまるでありません。

だって商品の一貫性がゼロだから。

どんなにNissenの服が増えても、Nissenのなかに自己が埋没していくことはありません。

だって、箱から出したらどこの商品かまったくわからないんですよ。

そういう意味では、NissenはAmazon的なのかも知れません。

でも、あれだけ買っててもNissenの段ボールの柄がすぐには思い出せないから、

Nissenの方が優秀かも。

Nissenは、名物社長のメディア露出も、デザインによる視覚的なブランド訴求もせずに

私のロイヤリティを育てました。

これはすごいことだと思うのですよ。だからNissen尊敬する。

あ、1,000円オフチケットのお知らせが来たので、

ちょっとNissenで買い物してきますね。



2 件のコメント:

  1. わたしもNissenのスペシャルメンバーです。

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  2. 職場用の靴を買ったら意外と良くて葬式にも履いて行き、次はブーティも飼ってみようかと思っていた所でした♪

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